太陽光発電の未来:PPAモデルの普及と市場動向

2024年太陽光発電市場の現状と2030年予測

2024年に発表された矢野経済研究所の調査によると、2030年度の国内太陽光発電導入容量は6,049MWに達すると予測されています。これは、主にFIT(固定価格買取制度)の縮小と、PPA(Power Purchase Agreement)モデルの成長が主な要因です。FIT制度に依存しない形態として、PPAモデルが太陽光発電市場に大きな影響を与えており、特にオフサイトPPAの普及が顕著です。

2023年の市場状況

2023年度の太陽光発電市場は大きな転換点を迎えました。FIT制度による導入容量の減少は、市場全体の縮小につながり、2023年度の導入容量は5,040MWと前年度から大幅に減少しています。特に、事業用の太陽光発電は、売電価格の低下や入札制度の影響を強く受けており、減少が続いています。しかし、その一方で、自家消費型の太陽光発電は着実に成長しており、特に企業が自ら発電した電力を消費する形態が注目されています。企業や自治体によるエネルギーの自給自足が進む中、電気代高騰や脱炭素化に対する関心が、太陽光発電の新たな導入の動機となっています。

PPAモデルの拡大

PPAモデルの拡大は、2023年において最も注目される市場動向です。PPAとは、発電事業者が太陽光発電設備を設置し、その電力を長期にわたって需要家に供給する契約形態です。これには、オンサイトPPAオフサイトPPAの2つの主要形態があります。オンサイトPPAでは、需要家の敷地内に発電設備を設置し、そこで発電された電力を直接使用します。これにより、需要家は初期費用を負担せずに、電力コストを削減できるメリットがあります。企業や自治体が自社で電力を使用するため、電気代の節約と同時に環境価値も高まっています。

一方、オフサイトPPAは、発電設備が需要家の拠点外に設置されるモデルです。ここでは、PPA事業者が大規模な発電所を設置し、その電力を送電網を通じて供給します。このモデルでは、需要家はより大規模な再生可能エネルギーを長期的に導入できるため、より多くの電力を安定して供給できる利点があります。企業が脱炭素化に向けた取り組みを加速する中で、オフサイトPPAは2026年までにオンサイトPPAを上回る導入容量に達すると予測されています。

2030年の市場予測

2030年度に向けた太陽光発電市場の見通しは、PPAモデルの成長が大きなカギを握っています。FIT制度を活用した太陽光発電の導入容量は縮小が続く一方で、PPAによる導入容量は増加傾向にあり、2030年には全体の85.9%を占めると予測されています。特にオフサイトPPAの成長は顕著で、環境価値を重視する企業や自治体にとって、脱炭素化とコスト削減の両立が可能なモデルとして支持されています。

一方、FIT制度による太陽光発電は、2021年から縮小が進んでおり、特に低圧区分における自家消費型要件の導入が導入容量の減少を加速させています。2030年にはFIT制度を活用した導入容量は850MWにとどまり、全体の14.1%に縮小する見込みです。これに対して、PPAモデルは市場の中心を占め、特にオフサイトPPAはその柔軟性と規模の優位性から、多くの企業にとって最適な選択肢となるでしょう。

結論

2024年の調査から、今後の太陽光発電市場はFIT制度からPPAモデルへのシフトが進むことが明確に示されています。PPAは企業の脱炭素化ニーズに応える形で成長を続けており、特にオフサイトPPAの導入が2030年までに急速に拡大する見通しです。電力コストの削減と環境価値の向上を同時に実現できるPPAモデルは、今後の再生可能エネルギー市場において重要な役割を果たすことが期待されています。

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