経産省、低圧太陽光発電の集約化へ「適格事業者」制度を導入

経済産業省、低圧太陽光発電の集約化へ「適格事業者」認定制度を公表

2024年10月22日、経済産業省は再生可能エネルギーの導入に関する有識者会議を開催し、国内に分散する低圧太陽光発電所の集約を担う「適格事業者」を認定する新たな制度の概要を発表しました。この制度は、全国各地に散在する小規模な太陽光発電事業を効率的に運営・管理し、長期的な安定電源として活用するための取り組みです。

分散型の太陽光発電事業を集約へ

経産省の分析によると、国内の事業用太陽光発電のうち、50kW未満の低圧太陽光が件数ベースで8割以上、容量ベースでも約半分を占めており、非常に分散された構造になっています。この分散型構造は、固定価格買取制度(FIT)やフィードイン・プレミアム(FIP)による支援期間終了後に、運営管理の効率が低下し、発電事業の継続が困難になるリスクを伴っています。

このリスクを解消するため、経産省は地域ごとに優れた事業者を「適格事業者」として認定し、分散した太陽光発電設備を集約して管理させることで、長期的な安定電源化を目指します。

「適格事業者」認定の要件

発表された「適格事業者」認定制度の要件は、以下の通りです。

  • 地域の信頼を得られる主体:法令を遵守し、地域との共生や安全確保にコミットメントすること。
  • 長期安定的な事業実施能力:太陽光発電事業を長期にわたり継続できることが求められますが、具体的な事業継続期間や集約規模(容量)は設定されません。
  • 自立的な事業運営能力:FITやFIPに頼らずに、太陽光発電事業を運営できること。このため、すでに2017年度以降に50MW以上の非FIT・非FIP事業の運営実績があることが要件となります。

この「2017年度以降の開発案件で50MW以上」という要件により、FIT制度初期の大規模案件所有者が自動的に有利になることを防ぐ狙いがあります。

「適格事業者」に与えられる利点

適格事業者に認定されると、以下のような優遇措置が受けられます。

  • 説明会負担の軽減:FIT・FIP変更認定時の説明会開催の負担が軽減されます。
  • 電気主任技術者制度の拡大利用:電気主任技術者に関する統括制度の適用範囲が拡大します。
  • パネル増設時の廃棄費用例外:パネル増設時における廃棄費用の一括積み立てについて、例外が認められます。
  • 事業売却の情報提供:事業売却を希望する事業者の情報を事前に共有できる仕組みが整えられます。

まとめ:適格事業者制度による安定電源化への期待

今回の経済産業省による「適格事業者」認定制度は、低圧太陽光発電事業の集約化を図り、効率的な管理運営を可能にすることで、再生可能エネルギーの安定供給を目指す重要な施策です。各地域に適格事業者を認定し、小規模事業者が管理負担を軽減しつつ、再エネ発電設備を長期にわたって持続可能なものとすることで、エネルギー転換の促進が期待されます。

この制度により、低圧太陽光発電の継続的な運営と、新たな再生可能エネルギーへの転換が円滑に進むことが期待されています。

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